「毎日の腰痛が辛すぎて、もう美容師を辞めたい・・・」
現役美容師として20年以上お客様と向き合い、ワンオペ美容院を経営するアベです。
私自身、アシスタント時代は腰痛にひどく悩まされた経験があります。
特に1年目の、まだ仕事に慣れていない時期は本当に辛かったですね。
私のサロンは全てサイドシャンプーだったため、腰をひねるような不自然な姿勢になりがちで、それが腰痛の発症につながっていました。
無理な姿勢で洗い物をしている時にぎっくり腰になったこともあります。
このように、腰痛になる原因の多くは無理な姿勢にあります。
特にアシスタントの場合、シャンプー中の腰への負担が大きいのが主たる原因でしょう。
しかし、経験を積むに従って、無理のない姿勢を体が覚えていきました。それとともに、腰痛の苦痛も感じなくなるようになったんです。
今は一人美容院で全てを一人でこなしていますが、ひどい腰痛に悩まされることもなくなりました。
一日にこなす人数が少ないのもあるかもしれませんが、何より姿勢への意識が変わったことが大きいと感じています。
これまでの自身の経験をもとに、腰痛に効果的な対策をまとめましたので参考にしてください。
美容師の腰痛はなぜ起きる?慢性化しやすい根本原因
なぜ美容師は腰痛になりやすく、一度発症すると慢性化しやすいのでしょうか。
その根本原因を理解することが、これ以上の症状悪化を防ぐ第一歩です。
美容師の腰痛を招く「立ち仕事」と「前傾姿勢」の組み合わせ
美容師の仕事は一日中立ちっぱなしで、カットやシャンプー、カラーリングの際に前かがみになることが非常に多いです。
この「長時間立位」と「不自然な前傾姿勢」の組み合わせこそが、腰への負担を最大化させ、腰痛を引き起こす最大の要因です。
長時間立ち仕事による血行不良と筋肉疲労
長時間同じ姿勢で立ち続けることで、下半身の血行が悪くなり、腰回りの筋肉が常に緊張した状態になりがち。
これにより、筋肉疲労が蓄積し、腰痛へと発展します。
シャンプー・カット時の前傾姿勢による腰椎への負担
私の経験からも、シャンプー台での姿勢、特にサイドシャンプーでの腰をひねるような体勢や、お客様の頭に合わせて前かがみになる姿勢は、腰への負担が大きいと感じます。
特に、中腰で無理な体勢を続けることで、ヘルニアなどの深刻な腰痛につながるリスクが高まるはず。
実際にアシスタント時代にぎっくり腰になったのも、無理な姿勢での洗い物中でした。
日常生活の姿勢や習慣も腰痛を悪化させる要因に
仕事中の姿勢だけでなく、日常生活での習慣も腰痛に深く関係しています。
運動不足と体幹の弱さ
サロンワークに日々追われて、適度な運動時間も取りにくい環境です。
体幹の筋肉が弱いと、腰を支える力が不足しますから、仕事での負担がそのまま腰にかかるのでしょう。
姿勢の悪さと睡眠の質
スマートフォンを見る際の猫背や、座っている時の悪い姿勢も拍車をかけます。
また、美容師特有のハードワークにより、質の低い睡眠が続きがちで、疲労回復の遅れにつながり、腰痛を悪化させる原因となります。
辞める前に試してほしい!美容師の腰痛を「改善・悪化させない」ための対策6選
腰痛で美容師を辞めるという最終決断をする前に、まずはできる限りの対策を試してみましょう。
日々の小さな心がけが、大きな改善につながることもあります。
私自身の経験からも、無理のない姿勢を体が覚えていくことで、腰痛の苦痛が軽減されることは十分にあり得ます。
仕事中の姿勢と立ち位置を見直す「基本のキ」
腰痛対策の最も基本的な部分でありながら、最も重要なのが仕事中の姿勢の見直しです。
シャンプー時の「中腰」を避ける工夫
サイドシャンプーでの腰痛は、特にアシスタント時代に悩む人が多いですね。
シャンプー台では、前傾姿勢を維持しがちです。
- お客様との距離を詰める: まず、お客様との距離をできるだけ詰めてみましょう。(シャンプー台に左腰をくっつける感じ)
- 足の位置を変える: 足を前後に開くことで重心を安定させやすくなります。私自身も、この足の置き方を意識することで、腰のひねりを減らせるようになりました。
- 肘はできるだけ曲げない:お客様の頭を持ち上げる時は肘を伸ばして体全体で支えるように意識します。
- シャンプー台の調整: サロンによっては、シャンプー台の高さを調整できる場合もあります。積極的に活用しましょう。
- 首の安定化: お客様に首の位置を調整してもらうよう声をかけるのも一つの手です。
これらの工夫で中腰姿勢を避け、腰への負担を減らすことができます。
カット・カラー時の「立ち位置」と「膝のクッション」
カットやカラーも長時間同じ姿勢になるため、腰に負担がかかりやすいです。
- 体をひねらない: 作業中に体をひねる動作は腰に大きな負担をかけます。お客様の周りを動き回り、常に体の正面で作業できるようにしましょう。
- 足は肩幅程度に開く: 足を肩幅程度に開くことで、安定した姿勢を保ちやすくなります。
- 膝を柔らかく使う: 膝を軽く曲げ、クッションを使うように作業することで、腰への衝撃を吸収し、負担を軽減できます。私自身も、経験を積むにつれて、自然と膝を使うようになり、腰への負担が減るのを実感しました。
- シザーケースをぶら下げない:腰痛の方はシザーケースを腰回りに下げない方が良いです。
合間にできる!簡単「腰痛ストレッチ」と「筋力アップ」
仕事の合間や自宅でできる簡単なストレッチや、腰を支える体幹の筋力アップを意識しましょう。
私自身も、腰痛が軽減されていったのは、体が無理のない姿勢を覚えていったことと、こうした日々のケアの積み重ねがあったからだと感じています。
腰の負担を和らげる休憩中のストレッチ
休憩時間やお客様の合間に、体を軽く反らす、膝を抱える、股関節を回すなどのストレッチを取り入れ、腰回りの筋肉の緊張をほぐしましょう。
- 腰を反らすストレッチ: 壁に手をつき、ゆっくりと腰を後ろに反らします。
- 膝を抱えるストレッチ: 仰向けになり、片膝ずつ胸に引き寄せます。
- 猫のポーズ: 四つん這いになり、背中を丸めたり反らしたりします。
体幹を鍛える簡単なトレーニング
体幹の筋肉が弱いと、腰への負担が増大します。自宅で簡単にできるトレーニングを取り入れてみましょう。
- プランク: うつ伏せになり、肘とつま先で体を支え、体を一直線に保ちます。
腰痛予防におすすめの体幹トレーニング!プランクの効果的な方法をご紹介!が参考になります。
- ドローイン: 仰向けになり、息を吐きながらお腹をへこませ、その状態をキープします。
Training 19体幹を鍛えよう1 -ドローインの練習-が参考になります。
仕事の合間にもできる簡単なものから始めてみましょう。
足元から腰を守る!「靴」と「冷え対策」
意外と見落としがちなのが、足元からのケアです。
クッション性の高い「靴選び」の重要性
長時間立ち仕事をする美容師にとって、靴選びは非常に重要です。
- ヒールは避ける: ヒールの高い靴は重心が前かがみになりやすく、腰への負担が大きくなります。フラットでクッション性の高い靴を選びましょう。
- インソールの活用: 市販の衝撃吸収インソールや、オーダーメイドのインソールを活用することで、足裏からの衝撃を和らげ、腰への負担を軽減できます。
- 靴の交換時期: 靴底がすり減ったり、クッション性がなくなってきたら、早めに交換しましょう。
靴底が薄い靴や、木のように硬い靴底の靴は、腰への負担が大きくなります。
「冷え対策」で腰回りの血行改善
冬場はもちろん、夏場の冷房による冷えも腰痛の原因になります。
- カイロや温湿布: 辛い時に一時的にカイロや温湿布を使うのも良いでしょう。
- 温かい飲み物: 体の中から温めることを意識し、温かい飲み物をこまめに摂りましょう。
質の良い「睡眠」と「入浴」で体をリセット
疲労回復を促し、腰痛を改善するためには、質の良い睡眠と効果的な入浴が不可欠です。
疲労回復を促す「睡眠環境」の整備
難しいですが、できる限り質の良い睡眠を確保し、疲労回復を促すため、自分に合った寝具を選びましょう。
マットレスや枕は、腰への負担を軽減するために非常に重要です。
自分に合った硬さや高さのものを選びましょう。
湯船に浸かる「入浴」で血行促進
仕事柄難しいかも知れませんが、シャワーだけでなく、出来るだけ湯船に浸かることも大事です。
体が温まり、血行が促進されることで、筋肉の緊張が和らぎ、疲労回復を助けます。
プロに頼る!整体・整骨院・鍼灸院の活用
セルフケアだけでは限界を感じる場合、専門家の力を借りることも重要です。
姿勢矯正や骨盤調整で根本改善を目指す
整体や整骨院では、体の歪みを矯正し、腰痛の根本原因にアプローチしてくれます。
定期的に通うことで、良い状態を維持しやすくなります。
鍼灸治療で筋肉の深部をほぐす
鍼灸治療は、筋肉の深部にアプローチし、血行を促進して痛みを和らげる効果が期待できます。慢性的な腰痛に悩む方におすすめです。
忙しい美容師におすすめ
労働時間が長く休日も少ない美容師は治療院にいくのも難しいですよね。そこで私が実際に使っておすすめしたいのが「円皮鍼(えんぴしん)」です。
鍼灸院で使われることが多く、小さなシール状の絆創膏に短い金属の突起(鍼)が付いており、ツボに貼ることで持続的な刺激を与えることができます。
セルフケアでも手軽に試せるので、試してみる価値はありますよ。
緊急対策と予防に「腰ベルト」の活用
腰痛を感じ始めた時や、予防のために「腰ベルト」を活用するのも効果的です。
腰ベルトは、腰の筋肉や関節を安定させ、正しい姿勢をサポートしてくれます。
特に、疲れている時、痛みが出ている時などには有効です。
- 自分に合ったサイズを選ぶ: きつすぎず、緩すぎない、自分の体型に合ったサイズを選びましょう。
- 長時間つけすぎない: 筋肉のサポートを目的としているため、頼りすぎると筋力が低下する可能性もあります。必要な時だけ着用し、長時間つけっぱなしにしないよう注意しましょう。
迷わず「整形外科」を受診するタイミング
日常生活に支障が出るほどの激しい痛み、しびれがある、足に力が入らないなどの症状がある場合は、迷わず整形外科を受診しましょう。
椎間板ヘルニアなど重度の疾患を見つける
自己判断で放置せず、専門医の診断を受けることで、椎間板ヘルニアなど重度の疾患を早期に発見し、適切な治療を受けることができます。
薬の処方やリハビリの指導
医師の判断で、痛み止めや筋肉を和らげる薬が処方されたり、症状に合わせた専門的なリハビリの指導を受けることができます。
腰痛が改善しない場合の最終手段「美容師を辞める・働き方を変える」
あらゆる対策を講じても腰痛が改善せず、仕事の継続が困難な場合、美容師を「辞める」ことや「働き方を変える」ことも、真剣に検討すべきです。
腰痛で「美容師を辞める」という選択
残念ながら、美容師という仕事の特性上、腰痛の根本的な原因を完全に取り除くことは難しい場合もあります。
健康を害してまで無理を続けることは、あなたの人生にとって良いことではありません。
辞める決断
腰痛で辞めることに罪悪感を感じる必要はありません。自分自身の健康を最優先に考え、冷静に判断することが重要です。
円満退職のための準備と手続き
もし辞める決断をした場合、サロンへの伝え方、引き継ぎ、退職手続きなどを円満に進めるための準備をしましょう。
美容師を辞める時に必要な情報は以下にまとめています。
さらに詳しく
腰痛と両立できる「美容師としての働き方を変える」選択肢
美容師を辞める以外にも、働き方を変えることで腰痛と付き合いながら仕事を続ける道もあります。
シャンプー・パーマなし!「カット専門美容師」への転職
シャンプーやパーマの施術がない「カット専門店」では、水仕事や前傾姿勢での作業が大幅に減ります。
腰への負担を軽減しながら美容師を続けたい場合に有効な選択肢です。
訪問美容師やフリーランスで「働く環境」を自分で作る
訪問美容師として活動すれば、お客様の自宅や施設で施術を行うため、自分のペースや姿勢を調整しやすくなります。
また、フリーランスとして活動し、自分のサロンや業務委託先で働くことで、労働時間や提供メニューを自分でコントロールし、腰に負担の少ない働き方を選ぶことも可能です。
サロンの「レセプション」や「事務職」への転身
美容師としての経験を活かし、サロンのレセプションや事務職として、お客様対応やバックオフィス業務に回る選択肢もあります。
直接的な施術は減りますが、美容業界に留まることができます。
美容師から事務職への転職事情をさらに詳しく
美容師以外の「異業種」への転職も視野に入れる
腰痛が深刻で、美容師を続けることが難しい場合は、全く異なる異業種への転職も検討しましょう。美容師としての経験は、コミュニケーション能力やホスピタリティなど、多くの業界で通用するスキルとなります。
美容師からの転職事情をさらに詳しく
未経験で挑戦できるどんな仕事があるのか、美容師を活かした働き方にはどんな仕事があるのか、実際に調べてみても良いでしょう。
美容師の転職に役立つサイト・エージェントをさらに詳しく
まとめ:腰痛と向き合い、あなたらしい美容師の道を諦めないために
美容師の腰痛は、多くの人が経験する深刻な問題です。
しかし、適切な予防とケアを続けることで、症状の悪化を防ぎ、快適に仕事を続けられるよう改善することは可能です。
私自身も、アシスタント時代の辛い腰痛を乗り越え、今では腰痛に悩まされずに美容師を続けています。
この記事で解説した腰痛の根本原因を理解し、日々の姿勢改善、ストレッチ、セルフケア、そして時にはプロの力を借りることを試してみてください。
これらの対策を継続することで、腰痛と上手に付き合いながら、美容師という仕事を続けられる可能性が高まります。
もし、あらゆる努力をしても腰痛が改善せず、健康を害するレベルにまで症状が進んでしまった場合は、「美容師を辞める」ことや、「カット専門」への転職、「フリーランス」として働き方を変えることも、勇気ある選択です。
自分にとって最善の道を見つけてくださいね。